武芸の稽古終えて、師匠をお送りして帰宅しました。
師匠の御自宅は強風で頭上から杉葉やら枝やらが降ってきて、これはお守りせねばと思い、華奢な折り畳み傘を差し出すんですが、師匠は御遠慮して逃げ回り、小屋の軒下から私にバイバイするのです。
誠に恐縮です。
ずっと前に、まだ師匠がお帰りの際にタクシーを御利用だった頃、雷が酷い日があって、私は稽古している建物の隣の体育館の駐車場に車を止めているんですが、師匠は「あなたに雷が落ちたら日本の大きな損失だ!」と言って、そこまでタクシーで送ると言うのです。
人生最短距離のタクシーでした。正味20秒というところでしょうか。
この様に師匠はあくまでも私と台頭の立場を取ろうとします。
稽古の最中、隣同士で同じ事をやったり剣を交えたりすると、よく二人で張り合ってます。
師弟関係ではありますが、
私は「師匠を追い越す勢いで上達してやるっ!」との気持ちで臨むし、
師匠は「見よ!こうだっ!」
との気持ちがビシビシ伝わってくるし、とても充実した時間です。
こういう師弟関係は上司と部下や先輩後輩の関係とも同じと思いますが、一方的に教える、また、教えられるだけの関係というのは、はなはだ物足りなさを感じるのです。
師匠は「まだまだっ!こうだ、こうやるんだ!見ろ俺が積み重ねたものをー!」
弟子は「いつまでも師匠を追いかける立場じゃないっ。全部吸収して追い付け追い越せだー!」
というのが互いを尊敬し合い、成長し合う師弟関係じゃないかな?と思います。
師匠は弟子が自分を追い越す勢いで成長してくれるのは嬉しい事と思うし、弟子は本気で学ぶ自分に本気で応えてくれる師匠はありがたいと思うのです。
師匠は私の結婚式のスピーチでこうおっしゃって下さいました。「私にとって最も幸せなのは素晴らしい師匠と出会えた事と、ケンタロウさんという素晴らしい後継者と出会えた事です。」
本当にありがたい言葉です。
熱いものを感じました。
師匠を越えるぞー!