真実と善と美

 日常の中で、見たり聞いたりした事について書いています。

読書感想文「弱いつながり」

「弱いつながり」東浩紀氏 著
を読了しました。

 著書の帯より
 「かけがえのない個人」など存在しない。ぼくたちは考え方も欲望も今いる環境に規定され、ネットの検索ワードさえもグーグルに予測されている。それでも、たった一度の人生をかけがえのないものにしたいならば、環境を意図的に変え、グーグルから与えられた検索ワードを裏切っていくしかない。それを可能にするのが身体の移動であり、旅であり、弱いつながりなのだー。


 自分の人生にどんな意味を持たせるか?

 自分は何をしたいのか?つまりどういう形で自分を表現したいのか?

 これは昨今自分自身にとっての思考課題です。
 つまり、ここで書かれている様に「たった一度の自分の人生を、かけがえのないものにしたい」のです。
 確かに、答えが見つからない時、視点や自分が置かれている環境を変えてゆく必要があります。

 同じ場所に立っていると同じ景色しか見えません。少し移動すると今まで見ていた景色が少し違って見えます。更に歩き出すと見た事のない景色が次々と見えてきます。

 環境を意図的に変えることで、様々なチャンスが巡ってきます。
 新しい発想や出会いや感動を期待する事が出来ます。

 したがって、私は常に変化を求めています。
 ただし、周囲に変化を求めている訳ではなく、自分自身のバージョンアップを求めています。自発的な変化です。
 自分自身が変わればそれに伴って周囲も次第に変化して行くでしょう。厳密に言えば自分自身の意識が変わっていく事が、先ずは大事だと思います。
 私のこの考えは、著書に書かれている事と逆説的に読めますが、同じ事です。
 自分が或いは自分の意識が変化する為には日常を変えなくてはいけない、習慣を変えなくてはいけない、会う人住む場所を変えなくてはいけない、未開の地に出かけて感動しなければならないと思っています。
 変化とは「自ら変化→環境の変化→」の繰り返しであると思います。

 とはいえ、私は常に変化していて、望むような道筋を歩いているわけではありません。

 先に書いたように、変化を望み、自分自身の表現方法を模索して人生の意味付けを探求しています。

 要するに現状の生活の沿線上に自分が望むものがあると、期待していないのです。

 ですから変化を求めているわけです。

 頭では解っていてもなかなか踏み出せません。どうしても現状維持に甘んじてしまう自分がいます。
 変化をするってリスクを取る覚悟が要りますよね。自分にはその勇気がない、現状維持が楽だと思っている。そう自己分析しています。

 では、何も変化を受け入れず、最適な選択の繰り返しで日々を過ごすとしたらどうなるでしょう?
 以下、著書の中より抜粋
  •  同じ世界の中で、同じ言葉ばかり検索していて、そしてそれなりに幸せでも、ぼくたちは絶対に老いる。体力がなくなる。それに抵抗することができるのは、弱い絆との出会いだけなのです。
  • 強い絆は計画性の世界です。
  • 弱い絆は偶然性の世界です。
  •  偶然と必然の関係。「この一回の人生」と統計の関係。それがぼくの哲学のテーマであり、また本書の基底にある問題意識です。
  • 本書で「新しい検索ワードを探せ」という表現で繰り返しているのは、要は「統計的な最適とか考えないで偶然に身を曝せ」というメッセージです。


 人生は偶然(弱い絆)の一瞬の繰り返しです。しかし、森羅万象の動きは一切の物事を完全化しようとする、調和の復元作用です。
 ですから偶然もまた、自らが求める上に訪れるのだと思います。

 自分の一度きりの人生を面白くする為に、必然的な偶然を求めて意図的に環境を変え、新鮮なインプットをたくさん受け入れたいと思いました。