真実と善と美

 日常の中で、見たり聞いたりした事について書いています。

幸福感を与えてくれるのは「物」じゃなくて「体験」



 世の中は「ボリュームゾーン不況」だそうです。

 株価は2万円に迫り金融市場は堅調さを維持している反面、小売業界ではヒット商品が出てもなかなか長続きせずに、短命でそのブームが去っていくそうで、そのサイクルは近年超短期だそうです。
 しかもそれが最も需要が豊富なマス市場で起こっているから大変だそうです。

確かに消費者視線で見ると、新しい商品がブームと共に次から次へと発表されては消えて、特にコンビニでは新商品だらけという状況も見られます。

 こうした状況は外食産業、家電製品、ファーストフード、コンビニ等、あらゆる産業で広がっています。

 理由としては、消費者の飽きが早くなり目が肥えてきたからだそうです。

 いくらヒット商品だからとて、同じものを売り続けるとあっという間に消費者から見捨てられる危険が隣り合わせにあるということです。

 人にとって何かを買うという事は一種のストレス解消を含んでいると思います。
 人は皆、何かを買う口実を探している向きがあります。自分の暮らしを少しでも良くしようという心理と、自分の暮らしに何かしらの変化を与えたいという心理が合わさって、それが購買意欲になっているのだと思います。

 そして、消費者は知っているのです。沸き立つ購買意欲によって買い求めたものの、自分に与える満足感の寿命の短さを。
 ですから消費者は少しでも自分の暮らしに大きな満足感を与えるものを探すのです。逆にその時は心をひきつけられても、すぐに飽きてしまいそうなものを体験から嗅ぎ分けてしまうのです。

 それこそが消費者の飽きが早くなり、目が肥えてきた所以ではないでしょうか?

 売る側にしても常に変化がある所とそうではない所があります。行くたびに商品に変化のあるお店はやはり足が向きます。新しい物との出会いや直感から起こるドキドキワクワクを期待します。
 しかし、何度行っても商品陳列に変化のないお店は徐々に行かなくなってしまいますね。

 それにしても、このようにお店を巡って欲しいものを探し、良さげな物を探し、それを眺めながら購入する口実を探すようなお買い物は、どれだけお金を使っても、物を増やしても得られる満足感や幸福感は一瞬で、切りが無い消耗戦です。

 最近よく見聞きするのは、物を得る事に寄る満足感よりも、体験による満足感の方が高くそして持続するという事です。

 最近は体験にお金を掛ける人が増えています。
 アウトドア、ボランティア活動、環境保護活動、スポーツ等もそうですし、今まで世間から見向きもされなかったけど、面白そうな希少な体験も市場で見られるようになりました。
 ちなみにアップル社の製品は、製品を通してスペックではない「ユーザー体験」を売っていますね。
 
「今日はみんな何をしているんだろう?」
「どんな情報を提供してくれるだろう?」
というワクワクした気持ちでページを開くという体験を提供してくれるのはFacebookです。

 体験と一言で言っても様々な体験の種類が在りますが、世の中でヒットする物事には良質な「体験」というキーワードが必ず含まれていると思います。

 ただし、この体験でさえも何も変化がないと次第に飽きられて斜陽になっていくでしょう。現にFacebookは登録者数が増える一方で、既存のアクティブユーザーが次第にアクティブでなくなりつつある現象が起きているようです。

 体験も変化がなければブームとしてすぐに過ぎ去っていくでしょう。

 体験の中には「承認欲求」や「創造性」や「達成感」等色んな含みがありますが、その中でも最も持続性があり、満足感に繋がるのは「貢献感」です。

 「嫌われる勇気」という本の中で、アドラー心理学では人の幸せは「貢献感」であると言っています。

 幸福を得るためには「共同体感覚」が必要で、そのために「貢献感」が必要になるわけです。感謝や報酬を得る必要はありません。貢献したんだという自己満足が大事です。

 詳しくはネットで"アドラー 貢献感"と検索するか「嫌われる勇気」を読んでください。

 体験の中にこの「貢献感」という要素を含むことにより、ただの体験活動よりも体験を通じて幸福になれ、高い満足感が得られるでしょう。
 今後は社会活動を含む体験やボランティア活動がどんどん増えていくと思います。

 最近「エコツーリズム」という言葉をよく聞くようになりました。「貢献感を含む体験活動」の可能性についても今後大きな広がりが期待できそうです。



 高度経済成長期の名残で、未だに大きな家、高級車、高級家具、高級な腕時計、贅沢な暮らしがステータスシンボルだと思い込んでる人が沢山居ます。

 ですが、それらの物は別に幸福を与えてくれるわけでもなく、満足感でさえほんの一瞬です。承認欲求や優越感を得ようとすれば自分が惨めな思いをするだけです。

 大事なのは物にお金を使うのではなくて、体験や経験にお金を使うことです。
 物を買うにしても、その物がどんな体験を与えてくれるかによって、対価を支払うべきで、よく考えることが大事だと、自戒を含めて思います。

 世の中にはどんどん体験の機会が増えているので、ドキドキワクワク感を持って色んな事にチャレンジしたいですね。